Googleは8月13日、Gemini 3.7 Flashを発表した。コーディングとエージェント向けの実務モデルと位置づけており、前バージョンのGemini 3.6 Flashからわずか3週間での更新となる。
提供はGoogle AI Studio・Android Studio・エージェント型のコーディング環境「Google Antigravity」といった開発者向けツール、法人向けのGemini Enterprise Agent Platform、個人向けにはGeminiアプリ内の上位サブスクリプション層「Spark」(無料枠の上位にあたるGoogle AI Pro/Ultra加入者向け)を通じて、発表と同日から始まっている。Sparkは160カ国以上で提供されるが、欧州経済領域・英国・スイス・ナイジェリアは対象外で、日本からは利用できる。法人向けのGemini Enterprise Agent Platformを通じた提供もあり、開発者個人だけでなく業務システムに組み込む形での利用も想定されている。
伸びているのはエージェント関連のベンチマークばかり
公表された数値を見ると、上がっているのは軒並みコーディングやエージェント実行系のベンチマークだ。コード品質を測るFrontierCode 1.1は34.4%から43.6%、複数ファイルにまたがる修正をどこまで自律的にやり切れるかを見るDeepSWE v1.1は49.0%から65.3%に伸びた。DeepSWEは実際のソフトウェア開発タスクを模した評価セットで、65.3%という数値は「人手を介さず最後まで解決できるタスクが3件に2件を超えた」ことを意味する。ブラウザ操作を通じたタスク遂行力を評価するWebArenaはEloスコアで1538から1588、経理・人事のような業務フローの自動化を測るAutomationBenchは17.0%から30.4%とほぼ倍増している。長大な文書からの情報抽出力を見るGDP.pdfも22.0%から34.0%に上がった。対話の自然さや知識量ではなく、指示を最後まで実行しきる能力に絞ってチューニングされたことが、この数値の伸び方から読み取れる。裏を返せば、雑談や一般知識を問うような用途での体感差は小さく、複数ステップのタスクを自律的にこなす場面でこそ違いが出るモデルだといえる。
価格は半額、ただし年末までの導入価格
価格は入力トークン1Mあたり0.75ドル、出力トークン1Mあたり3.75ドルで、Google側は前バージョン比「半額」としている。1ドル150円で換算すると入力は約113円、出力は約563円で、大量のコード生成や長文書の読み込みを伴うエージェント用途ほど出力側のコストが効いてくる水準だ。ただしこれは年末までの導入特別価格であり、恒久的な料金ではない。API経由で長期運用を組む場合は、年明け以降に価格が見直される前提で試算しておく必要がある。安全面では、CBRN(化学・生物・放射性・核)関連やサイバー攻撃に関するセーフガードも合わせて強化されており、エージェントが自律的に多くの操作を実行できるようになったことに対応する形で防御面も同時に手当てされた形だ。
同じ週にOpenAIもGPT-5.6 Solの新モード「Ultrafast」を発表しており、Cerebrasのチップを使って生成速度を最大14倍に引き上げている。Googleが精度と実行完遂力で、OpenAIが速度で差別化を打ち出す形になっており、エージェント向けモデルの競争軸が「賢さ」から「賢さを保ったまま何が速くできるか」に移りつつあることがうかがえる。3週間というGemini 3.6 Flashからの更新間隔の短さも、こうした主導権争いを反映した動きと見ることができる。
Gemini全体の料金体系は、別記事「Geminiの料金プランを徹底比較」で整理している。




