OpenAIは11月2日、育児や家計管理、行政手続きなど日常生活のタスクをAIがどこまでこなせるかを測る評価ベンチマーク「LifeVal」を論文とあわせて公開した。助言や回答の質ではなく、ブラウザ操作やコンピューター操作、外部サービスとのコネクタを使って、タスクを実際に完了できるかを測る点に主眼がある。同社はこの1年、社内でこの評価を使ってモデルの改善を追ってきた。
タスクの選定には、米国生活時間調査(American Time Use Survey)と多国籍生活時間研究という2つの大規模調査を使い、人々が日常で何に時間を使っているかを洗い出した。そのうえで人口構成を代表する3,995人に新たに調査し、AIのパーソナルアシスタントに手伝ってほしい分野を特定した。対象は育児・介護、健康、教育、家庭の事務、家計、買い物、行政サービスの利用などに及ぶ。
公開された例には、引っ越し先で条件に合う幼稚園を絞り込んで入園手続きを整理するタスク(93.1%)、糖尿病と診断された親のための1週間の食事とケアの計画(90.4%)、予算や通勤条件に合う家を探して郡の公文書サイトのカートに権利証を追加するタスク(100%)などがある。GPT-6 Astraは、幼児向け教室の予約、車の点検予約、予算内での食材注文と明細のスプレッドシート化、メールマガジンの配信停止などで100%を記録した。ただし発表ページで示されているのはタスク別のスコアで、ベンチマーク全体の平均点や他社モデルとの比較は載っていない。
OpenAIは2025年9月に、44の職業の実務タスクでモデルを評価する「GDPval」を公開している。GDPvalが報告書や資料といった仕事の成果物の質を専門家が採点する形式だったのに対し、LifeValは私生活の用事を対象にし、予約や注文といった操作まで終えられるかを問う。週10億人超が使うChatGPTを、回答を返すチャットから用事を代行するエージェントへ広げる方針に合わせた評価軸といえる。一方で、タスクの元データは米国中心の調査で、郡の公文書サイトでの手続きなど米国の制度を前提にした例も含まれており、日本の行政手続きや買い物環境での性能をそのまま示す指標ではない。



