Googleは10月13日(米国時間)、開発者ブログで「Gemini 4 Argon for Robotics」を公開し、同日に一般提供を始めたフラッグシップモデルGemini 4 Argonをロボット開発の各工程に使う事例を示した。ロボット専用モデルではなく、汎用モデルそのものを物理世界の推論に使う点が今回の主眼だ。
身体性推論のベンチマークERQAでは、外部ツールを使わない推論だけで87%を記録し、他のフロンティアモデルを上回ったとしている。事例は実機制御、シミュレーション構築、物理理解、自己改善の4分野に分かれる。実機制御では、Boston DynamicsのSpotにペダル式ゴミ箱を足で開けさせて空き缶を捨てさせる作業を、先に物理シミュレーターMuJoCo上でゴミ箱の可動モデルを作って予行してから実行した。シンプルなアームで倒れたマグカップを起こす作業は事前学習なしのゼロショットで、「look_at」「grasp」などの動作プリミティブを数回から20回程度呼び出して完了させている。
シミュレーション構築では、遠隔操作の記録、人間の一人称視点の映像、手描きのスケッチの3種類からMuJoCoの環境を組み立てた。テーブル上を撮った写真1枚からデジタルツインを作り、77タスクのカリキュラムと4,500件超の学習エピソードを生成してVLA(視覚・言語・行動)モデルを追加学習させた例では、実環境での成功率が56%から75%に上がり、作業時間は35秒から24秒に縮んだ。低価格アームSO-101のピック&プレースでは、Argonがログと映像から失敗原因を診断して改善を3回繰り返し、作業時間を58.9秒から17.4秒まで短縮した。
Google DeepMindのロボット向けモデルはこれまで、動作を生成する「Gemini Robotics 2」と、計画・監督を担う「Gemini Robotics ER 2」(いずれも7月発表)という専用系統で提供されてきた。今回の事例でArgonが担っているのは、そうしたモデルを動かす前段にあたるシミュレーション環境の構築、学習データの生成とラベル付け、改善ループの実行で、専用モデルの置き換えというより開発工程の自動化に近い。ブログには専用モデルとの性能比較は載っていない。ArgonはGemini APIの有料枠(モデルID「gemini-4-argon」)で使えるほか、Google AI StudioとAntigravityではUltra加入者向けに提供される。



