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Google DeepMind、AI気象モデル「WeatherNext」で台風予測の精度を大幅向上

Google DeepMindは8月6日、学術誌Natureで気象AIモデルWeatherNextが台風の進路・強度予測において従来モデルを上回る精度を達成したと発表した。3日先の予測精度が従来モデルの2日先の精度と同水準になり、約24時間分のリード時間を新たに獲得したとしている。DeepMindはこの改善幅について、過去20年間の気象学的な進歩のおよそ10年分に相当する規模だと説明している。

これまで台風の進路予測と強度予測には別々のモデルが必要だったが、WeatherNextは1つのモデルで両方を担う。解像度は従来モデルのおよそ100分の1の計算量で済む28km四方まで絞り込みつつ、1,000メンバーのアンサンブル予測によって確率分布や発生頻度の低い現象も捉えられるようにした。進路と強度を別モデルで計算する場合、両者の予測結果に矛盾が生じることがあったが、単一モデル化によってその整合性の問題も解消したという。

2023〜2025年のベンチマーク期間では、3日先予測の進路誤差が約100km、強度誤差が約11ノットとなり、欧州中期予報センターのアンサンブルモデル「ENS」や米国のハリケーン研究・予報モデル「HWRF」を上回る精度を示した。2025年のハリケーンシーズンでは、米国立ハリケーンセンター(NHC)がハリケーン「メリッサ」の急速な強化とジャマイカ上陸を予測する際に同モデルを実際に活用し、事前の警報発令に役立ったとしている。急速強化は数値予報モデルが苦手としてきた現象であり、実運用での的中はこの分野での実用性を示す事例として紹介されている。

20テラバイトの気象データと過去約5,000件の台風記録で学習

WeatherNextはおよそ20テラバイトの全球気象データと、過去約5,000件の熱帯低気圧を記録した歴史データベース「IBTrACS」を使って訓練された。物理法則をシミュレーションする従来の数値予報とは異なり、過去の観測データからパターンを学習する機械学習モデルである点が計算コストの低さにつながっている。アンサンブル予測など、この分野で使われる手法の基礎的な用語はAI用語総覧でも解説している。

モデルと重みをGitHubで無料公開

DeepMindは研究コミュニティへの提供を目的に、WeatherNext 2・WeatherNext Cyclones・WeatherNext 2-miniのコードと学習済み重みをGitHubで公開した。Google Colab上でも無料で試せる環境を用意しており、気温・降水量・風速など複数の予測パラメータをまとめて確認できる「Weather Lab」プラットフォームも提供している。研究機関や気象当局が自前で検証・再利用できる形にした点が特徴で、こうした無料で試せるAI関連ツールは無料で使えるAIツール比較でも随時まとめている。

今回のNature誌への掲載は査読を経た研究成果としての発表であり、Weather Labやブログでの告知にとどまらない位置付けになる。3日先の予測が2日先相当の誤差まで縮んだという結果は、避難勧告の発令や船舶・航空の運航判断に使える猶予がおよそ1日分増えることを意味する。ハリケーン「メリッサ」のケースでNHCが早期警報につなげられたのも、この猶予の広がりが実際の防災判断に反映された例といえる。

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